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材料の強度と破壊について
八戸工業大学時代(昭和48年〜平成21年3月)の研究から

機能性材料  ホタテ貝殻に関する研究はこちらのページで


小山の学位論文の一部です

 金属やプラスチック等、ほとんどの材料は、小さな力でも、例えば、数百万回の繰り返しをうけると、人間と同じように”疲れ”を起こします。これが「疲労破壊」という現象です。回転する機械、振動をうける部品などの設計には注意が必要です。
 私達の身の回りでは、ユニットバスやボート、車のバンパーに使われているFRPが、ガラス繊維とプラスチックの複合材の代表的なものです。複合材料は、特徴のある2つ以上の材料を合成し、より優れた材料を得るのが目的です。スポーツ用品を始め、車や航空機などに多用されています。この種の複合材料は、軽くて強く、腐食しにくいのが特徴です。しかし、母材と強化繊維との間の接着性が問題となっています。例えば、車のバンパーはFRP製が多いのですが、一度衝突などで荷重が加わると見た目には何ともなくとも内部は、ガラス繊維とプラスチックの剥離が生じ、強度はがた落ちになります。

 研究室では、複合材料の強度向上を目的として、引張試験機や疲労試験機で変形を与え、どのように変形するか、あるいは破壊するか、ガラス繊維と母材の剥離に注目し、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使って観察して調べてきました。また、酸環境下での複合材の破損事故が問題となってきており、酸環境下でのガラス繊維の腐食が生ずるが、酸環境、応力の存在下ではポリカーボネイトに表面き裂が観察された。
複合材料研究背景の詳細

複合材料の詳細は下記から

 微少量のガラス短繊維を含む 非結晶性高分子材料の変形と破壊
 複合材料の引張変形
 複合材料の疲労変形
 複合材料の引張変形に及ぼす温度の影響
 疲労変形に及ぼす温度の影響
 複合材料の酸環境下における疲労変形挙動1 AS材の場合
 複合材料の酸環境下における疲労変形挙動2 PC材の場合
 複合材料の疲労き裂伝播
   複合材料関係論文、報告書等
 Eガラス繊維の酸環境下における腐食特性
 ホタテ貝殻を強化材とする複合材料の特性
 GFRPの疲労き裂伝播特性について


その他の研究論文、報告書、テキスト等

   論文、報告書等 PDF
純鉄の再結晶現象に及ぼす塑性ひずみの影響     
金属の組織観察   
  試験片の写真撮影 マクロ撮影(接写)  
  従来の機械・金属材料学分野の解説   
大型トラックホイール取り付けボルトの破損事故解析 PDF
繰り返し応力−ひずみ関係に及ぼすフェライト結晶粒大きさの影響 PDF
低サイクル疲労特性に及ぼす結晶粒大きさの影響について
  低サイクル疲労の実験方法、データの整理などを詳細に
PDF
腐食材の低サイクル疲労強度劣化について タンク底板 論文 PDF
腐食材の低サイクル疲労強度劣化について----人工的に作成した孔食の場合 PDF
 石油タンク破損事故防止の研究経緯について   
極値統計法による腐食材の残存寿命推定 1995年 PDF
 極値統計について   基本分布などについて   最小二乗法によりα、λ計算 PDF
SS400材の疲労き裂伝播特性  
SS400材の3%NaCl溶液中における腐食について  
ステンレス角波板に生じた腐食の原因について PDF
   ステンレス鋼について   
パソコンによる材料力学の教材開発 1999/10 PDF
骨付き膝蓋腱の脛骨側初期固定強度について 
靱帯の頸骨側固定強度試験のための固定治具 骨付き膝蓋腱(BTB)試験片の製作等
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関節軟骨の粘弾性特性計測装置の設計    
漁網取り付け金具の破壊調査結果について PDF
SUS304ステンレス鋼の温泉水による腐食の原因について PDF
低サイクル疲労とは?   
材料科学、材料強度学における材料の変形や各種破壊の研究について   
地震によるブレースの破損 三陸はるか沖地震 PDF
大腿骨固定金具の破損 PDF
論文、報告書等リスト    小山研究室卒業論文テーマ一覧     

材料の強度と破壊

 実際に稼働する機械や装置の設計の際には,使用される環境条件下で強度として何を採用するか考慮すべき点は多くあります。例えば,原子炉の1次冷却水と2次冷却水の間で熱交換を行うステンレス製の細管は、つねに脈流する高圧すなわち荷重が繰り返し作用すします。また、高温状態、腐食条件下で使用され、さらに放射線の影響を受けながら稼働していることになります。すなわち、材料が繰返しの荷重を受け、低温,高温あるいは腐食環境下で使用され、さらに放射線につねにさらされています。
 
 金属の結晶の物理的または機械的性質は、低温、高温、腐食環境、放射線環境では変化するのが普通であり、さらに,これらの複合条件下で使用される場合には,材料はその性質を,室温の通常の場合と異なり,一般に,強度を低下させる方に変化します。また、後に解説するように、材料には必ず欠陥が入ってきます。降伏応力より低い繰り返しの荷重が作用して生ずる破壊、"金属疲労"はこのような欠陥等から微視き裂が成長して破壊が生じます。従って、設計技術者はこれらの現象を考慮した上で設計することが必要になってきます。このような複雑な条件下においては,材料の強さとして,降伏応力引張強さを採用することは,安全性に問題が生じます。設計の立場から,このような複雑な条件を把握し,対応する使用材料の”適切な強度”を選択するためには、あらゆる環境下における材料の性質の変化を理解する必要があります。
 
 材料の物理的性質、化学的性質の研究は、物理学や化学および物性学の分野であり、結晶の構造などは金属学の分野であり、機械的性質の研究は、材料力学、構造力学の分野が関係してきます。また、性質の変化は、原子の程度の大きさ(微視的)の視点から、目に見える寸法の大きさ(巨視的)の幅広い視点からの研究が必要となります。このように、いろいろな学問を有機的に結びつけ、より信頼性のある強度や機能性を求めるために生まれた学問が材料科学(Materials Science)です。
 
 材料科学は、工学、理学はもちろん、医学の分野にまで必要とされている材料に関する総合学問です。多くの材料のうち、金属材料がもっとも多く使用されている材料であり学問も進んでいますので、金属を例に、金属の機械的性質(力が加わったときに示す性質)を解釈するのに必要な基本的知識から解説します
 
 以下は大学院の講義のために作成したテキストの一部です。
第1章 材料の強さとは
第2章 金属の塑性変形と格子欠陥(転位)
第3章 降伏 Yielding
第4章 破壊(Fracture)----破壊とは,延性破壊
第4章 破壊(Fracture)----ぜい性破壊
第4章 破壊(Fracture)----疲労破壊
第4章 破壊(Fracture)----低サイクル疲労
第4章 破壊(Fracture)----クリープ 
第5章 金属の腐食(Corrosion of metals)     
第6章 き裂の力学  

従来の機械・金属材料学分野の解説
 
1. 金属と結晶構造
2. 金属の変態と合金の構造
3. 相律と二元系状態図
3.5. 基本状態図U 全率可溶固溶形
    
7. 炭素鋼の基礎
7.2.8 炭素鋼を加熱して急冷するときの組織変化
10 炭素鋼の熱処理
硬さ試験(hardness test)
 

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